Neo4j時代の差を思い知ったハッカソン
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Neo4j時代の差を思い知ったハッカソン

+81 Builders主催のハッカソンに参加し、ai&のCLIとskillsでAIサービスをサーバーとして動かす仕組み、MiniMaxを使った高速で安価な動画生成を体験した。さらに登壇者は4時間でNeo4jを活用し、写真の関係解析や音楽分析、接触調査の動的グラフ、火災シミュレーションを構築。coding agentの熟練だけでは通用しない時代の変化と、関係を設計する力の必要性を痛感した。

あるハッカソンで思い知った、Neo4j時代との差

もともとはNeo4j目当てだった。

このハッカソンの主催は+81 Builders。とても若い組織で、イベントのスポンサーはAPIサービスを提供するai&だった。グラフデータベースのベンダーから製品の話を聞きたかったのだが、当日Neo4jのセッションはなく、登壇したのはai&だった。期待は外れたものの、収穫は予想以上だった。ひとつはai&がAPI、CLI、skillsをつなぐ仕組み。もうひとつは参加者がNeo4jで作ったものだ。後者には、はっきりとした危機感を覚えた。

ai&:skillsを「起動できるプログラム」にする

ai&の売りはわかりやすい。安い、速い、安定している。正直、この手の売り文句にはもう慣れていた。本当に意外だったのは、付属のCLIだ。

自分のPCでskillsを書いておき、ai&のCLIからそのサービスを呼び出せる。つまりharness engineeringの部分をゼロから書かなくていい。定義済みのskillsを普通のwebサーバーに置けば、そのままAI serverとして動く。

流れはこうだ。フロントから普通のテキストが届くと、バックエンドに書いておいたskillsがそれを受け取り、定義した手順で処理する。「モデルを呼んでいる」というより、プログラムを起動している感覚に近い。skillsがプログラムで、CLIが起動コマンドだ。このたとえが厳密かどうかはさておき、「AIサービス」を一回の一問一答から、デプロイして再利用できるものに変えている。自分にとっては、価格よりこちらのほうが魅力的だった。

同じセッションでは、ai&が動画生成サービスも提供していた。MiniMaxのモデルを使っている。速いうえに安い。その日、5秒単位で30本以上の動画を生成し、30分かからずに全部完了、合計500円未満だった。並列で走らせられるので、1本ずつ順番待ちする必要もない。正確な単価は覚えていないが、「速い、安い、待たなくていい」という三つの感覚ははっきりしている。大量に試作素材が欲しい人にとって、このコスト構造は働き方を変える。以前なら生成するかどうか迷っていたが、今はまずアイデアを広げてから選べる。

主催者:抑制が効いているのは強みだ

主催の+81 Buildersはとても若いチームだった。印象に残ったのは規模ではなく、進行の仕方だ。

司会は黒人の若者で、英語は母語、日本語も流暢だった。それ以上に良かったのは立ち居振る舞いだ。落ち着いていて、話が短く、無駄がない。開幕は「皆さん、ちょっと聞いてもらえますか」と穏やかに一声かける形で、「皆さん、ようこそ……」と長々と続けるのではない。名前を呼び、進行し、締める。それがとてもきれいだった。

日本で開かれるITイベントには、別の司会スタイルも多い。司会者が自分を見せようと頑張り、一つのことをいくつにも区切って話し、声やリズムが少し居心地悪い。それに比べると、この司会者の抑制はむしろプロらしく見えた。声量で場を仕切っていると示す必要がないのだ。

会場には、とても華のある女性がサポートとして入っていた。彼女はただ横に立っているだけではない。訪れた人ひとりひとりに自分から話しかけ、今日は何をしたいのか、紹介しようかと尋ね、まず気持ちを引き上げていく。場の雰囲気の大半は彼女が作っていた。若いチームが、司会と受付の両方を、前に出すぎず、しかも冷まさずにやれているのは難しい。今年参加したイベントの中で、主催者として最も良かった。

4時間で、彼らはNeo4jで何を作ったのか

ai&は「今後もっと使いたい」と思わせるものだった。だがその後の作品発表で、私は少し座り直すことになった。

私が今回作ったのは、ai&のCLIと動画生成をつなぎ、アニメーションを全自動で生成する小さなサービスだ。構造は単純で、フロントから入力し、バックエンドがskillsに従って動画モデルを呼び、成果物を出す。去年の文脈なら、これは自分の得意分野だった。去年はみんなcoding agentを学び、プログラマーがagentを使って面白いものを素早く作る方法を研究していた。私はそのリズムに比較的慣れていて、それなりに注目も浴びていた。

しかし登壇した人たちは、ほぼ全員がNeo4jの話をしていた。

Ontology、知識グラフ、それをどうアプリケーションにつなぐか。言葉自体は前から知っていたが、日本の開発者コミュニティで本格的に盛り上がったのはごく最近のことだ。熱が上がって間もないのに、登壇者たちはすでにここまで使いこなしていた。それが意外だった。

1枚の写真から、写真の中の関係を問い直す

隣に座っていた日本人の若者は、こんなものを作った。写真を渡すと、写っているものを一つずつ分解する。ここまでは多くの人が思いつく。画像認識で各物体が何かを推測するのも難しくない。本当に感心したのはその次だ。物体の意味、位置、物体間の距離関係をすべてNeo4jに入れ、グラフデータベースに関係を生成させ、その関係をたどって「この写真の中の物体同士が、結局どんな意味を成しているのか」を問い合わせる。

彼が挙げた例は、日本の伝統的な祭りだった。提灯が一列に下がり、その下に着物を着た人たちが並び、そばに祭具があり、写真を撮る観光客もいる。システムはこの写真から、関係を通じて「どんな活動なのか」を推論する。可視化もあった。提灯をクリックすると、関係の最も深い物体がつながって現れる。最初に指し示すのは、提灯の下、机のそばにいる人たちだ。なぜこの人と提灯の関係が最も深いのか。提灯は何か。どんな祭りか。この人たちはなぜ祭りの歌を歌いに来たのか。関係が答えを一本の線につないでいく。

この作品は4時間で作られていた。感心したのは画面の派手さではなく、その発想だ。「関係」そのものを問い合わせの対象にできるのだと。

AIが作った曲から、創作の法則を抽出する

次に登壇したのは外国人の女性だった。今はみんなAIで曲を作っている。なら自分もAIで一曲作ろう。ただし本当に試したいのは、自分が好きな曲同士にどんな関連があるのか、ということだ。

彼女のやり方はこうだ。AIで曲を生成し、その曲をAIで解析する。コードやベース、音符といったデータを取る。別の曲も解析し、良いと感じるかどうかをモデルに判断させる。これらのデータは単体では意味がない。それをNeo4jに入れると、つながりのある関係グラフが得られる。このコードが終わると、あのベースが出てくる。その関係が強いのか弱いのか。そうして創作に法則のようなものが見えてくる。

正直、技術の細部は完全には理解できなかった。だが画面が現れた瞬間の未来感は強かった。ITに20年以上携わってきた自分が、それでも学ばなければと感じた。

動くグラフで、接触調査をクリックできる関係に変える

もう一人、留学生の若者は感染症をテーマにした。一人が感染し、その人が誰と接触し、その接触者がさらに誰と接触したか。テーマ自体は新しくない。だが彼はNeo4jで、アニメーション付きの動的な関係グラフを作った。人をクリックすると関係が感染者のほうへつながり、さらにその接触者へと伸びる。グラフはクリックに応じて切り替わっていく。

文字記録の中の事実を、クリックできて見られる関係に変える。その発想が古いテーマを一気に開いていた。説明用のpoint finderも作っていた。これも4時間で作られている。

一等賞:火の広がりを地図の上で走らせる

最後に一等賞を取ったのは、火災のシミュレーションを作った若者だ。

インターフェースがすごい。3Dマップがあり、ある地域や病院をクリックすると、その部分の画像を切り取る。彼は自分が最も技術的に難しいと考える方法で、地図画像から地形の高低差を判断し、ブロックごとにデータを抽出してNeo4jに入れ、モデルを訓練した。ある区域で火が出たとき、知識グラフと訓練したデータから、火がどの方向へ広がるか、どこで消し止められるか、どのくらい燃え続けるかを推論する。しかも全体がアニメーションで動く。

構想から構築、完成までこれも4時間。一等賞は当然だと思った。

本当に不安だったのは、勝ち負けではない

発表がすべて終わったとき、最初に浮かんだのは「なぜ選ばれなかったのか」ではなく、「選ばれなくてよかった」だった。

自分が審査する側でも、自分の作品は選ばない。私が作ったのは役に立つ自動化だ。だが他の人たちは、まったく新しい知識の組織化の仕方で、これまで答えられなかった問いに答えようとしていた。この二つは同じ土俵にない。

去年はcoding agentの熟練度でまだ少し有利に立てた。今年はその優位が薄れつつある。ツールが「何かを作る」ハードルを下げたとき、作品の上限を決めるのは書けるかどうかではなく、頭の中に関係の網があるかどうかだ。

knowledge graphは「もう一つのデータベース」だと思っていた。それが何か知っていて、クエリが書けて、アプリにつなげられれば十分だと。しかしこのいくつかの作品を見て、違いはそこではないとわかった。現実の中のどの関係を切り出し、つなげ、それを使って本来答えられない問いに答えるかを思いつけるかどうか。そこが分かれ目だ。

これまで自分がやってきた解析は、ビジネスの関係やコードの関係が多かった。今から見れば、間違いではない。ただ狭すぎる。Neo4jは道具にすぎず、Ontologyも方法にすぎない。写真の中の物体、音楽の和声、感染症の接触、地形の高低差を、同じ「関係の問題」として見られるかどうか。そこが分水嶺だ。

イベントの後、やりたいことは二つある。一つはai&を使うこと。特にCLIとskillsのデプロイ方法だ。もう一つは知識グラフを学び直すこと。概念を暗記するのではなく、自分がよく知る領域をいくつか選び、関係を抽出してみる。

ai&には、今後text-to-speechや画像生成、LLM周りの機能も追加してほしい。それらが同じ入口から呼べるなら、「skills即プログラム」という使い方はもっと完成度を増す。

最後に+81 Buildersに感謝したい。運営は成功していたし、司会も場の雰囲気も良かった。Neo4jの話だけを聞くつもりが、危機感を抱えて帰ることになった。とても楽しい一日で、行く価値があった。

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