合算モデル:特売品で来店を促し、組み合わせ購買で利益を上げる
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合算モデル:特売品で来店を促し、組み合わせ購買で利益を上げる

特売品や目玉商品で来店を促し、惣菜や生鮮など粗利率の高い商品との組み合わせで利益を回収する「合算モデル」を解説する。食品スーパーの品目別粗利率を例に、日配品が売上の四割強を占めながら利益を上げにくい構造を示し、ライフやヤオコーの営業利益率、大手同士のM&A、カテゴリーキラーという対抗策までを整理する。

合算モデル:特売品で来店を促し、組み合わせ購買で利益を上げる

スーパーが特定の商品を特売にし、場合によってはその商品で赤字を出してまで売る。いったい何のためなのか。

その商品だけを見れば赤字でも、客が店を出るときのカゴ全体で見れば採算は合う。店全体に広げれば、特売品が来店のきっかけをつくり、惣菜や生鮮といった粗利率の高い商品が利益を回収する。この「集客商品+利益商品」の組み合わせで商売を成り立たせるのが合算モデルだ。

二本の線:集客を担う商品と、利益を生む商品

合算モデルを理解するには、取引の図が役に立つ。横軸は「組み合わせの力」、縦軸は「バリューチェーン」だ。

図の上では、集客を担う商品は点線で描かれる。客を店に引き込むフックである。実際に利益を稼ぐ商品は実線で描かれ、こちらが取引の中で利益を生む部分になる。合算モデルの要点は、一つの商品の粗利を最大にすることではなく、この二種類の商品を同じ購買行動の中に置き、取引全体で採算を合わせることにある。

縦軸が答えるのは、また別の問いだ。利益をどこから得るのか。合算モデルは自社でバリューチェーンを築く。仕入れ、店舗運営、加工、値付けまでを自社で行い、各工程で生まれる価値を積み上げていく。単純な仕入れ値と販売価格の差ではなく、チェーン全体に蓄積された価値で稼ぐのである。

食品スーパーはなぜ普通の小売に見えて、実際は違うのか

食品スーパーは合算モデルの最も典型的な例だが、普通の流通小売と誤解されやすい。安く仕入れて高く売り、その差額を稼ぐビジネスだと思われがちだ。

だが「仕入れて売る」だけでは差別化が難しい。誰でも同じ商品を仕入れられ、客も同じ価格を比較できる。結果として収益性は低く抑えられてしまう。だからこそ食品スーパーが実際に展開しているのは、合算モデルに近い経営だ。一部の商品で来店する理由をつくり、別の商品で購買を受け止める。

この構造は実店舗の小売のあちこちに見られる。ドラッグストア、宴会場やレストランを備えた大型の都市型ホテル、外食のセットメニュー、居酒屋のコースメニューも同じだ。テーマパークもそうで、チケットと園内での消費を組み合わせて高い利益率を生み出している。こうした業界の代表企業として、Welcia Holdings、Cosmos Pharmaceutical、ライフ、Pan Pacific International Holdings、帝国ホテル、Oriental Land が挙げられる。

粗利率の表で見る、スーパーがどう採算を合わせているか

合算モデルがどう機能しているかは、品目別の粗利率を見るのが一番わかりやすい。

ライフを例に取ると、目を引くのは惣菜の粗利率の高さだ。店頭には天ぷらや寿司、弁当が並ぶ。これらの多くは店舗で加工されており、仕入れてそのまま売る商品よりも粗利を取りやすい。コンビニよりは安い価格帯でありながら、スーパーにとって欠かせない商材になっている。

野菜や魚、肉といった生鮮食品の粗利率も三割近い。意外なのは、売上で最も大きい部分だ。日配品が売上の四割強を占めながら、粗利率は低い。

日配品とは、毎日店舗に配送される加工食品のことだ。冷蔵が必要なハムやソーセージなどの畜産加工品、水産加工品、牛乳やチーズ、パン、生麺などが含まれる。毎日使う商品だからこそ価格を比べられやすく、利益を上げにくい。

そこでスーパーの採算はこうなる。チラシに載せた特売品や目玉商品で客を店に呼び込む。安く仕入れられるものもあれば、赤字になるものもある。客はもちろん特売品を買うが、それだけでは終わらない。その日の献立に必要な食材、合わせて使う調味料、ついでに手に取る菓子もカゴに入る。

特売品が集客を担い、惣菜や生鮮といった粗利率の高い商品が利益を回収する。この組み合わせが、スーパーの売上と利益を支えている。

代償:組み合わせが複雑になるほど、利益率は薄くなる

合算モデルの課題も、まさに収益性にある。

惣菜のように採算のよい商品だけを売れれば、利益はもっと良くなる。だがスーパーという業態は、多様な商材を揃えることを前提としている。消費者は価格に厳しく、激しい価格競争にさらされながら、低価格帯の商品も組み合わせなければならない。その結果、全体の利益率は低く抑えられる。

ライフの営業利益率は 2.9%。業界で高収益企業として知られ、上場企業でもトップクラス、35期連続の増収増益を記録するヤオコーでも、営業利益率は 4.7%に過ぎない。

スーパーやドラッグストアで大手同士の M&A が活発なのも、これで説明がつく。統合によってコストを下げたり、大量購買で仕入れコストを削減したりできる。規模そのものが、合算モデルにおける利益源の一つなのだ。

もう一つの道は、逆に絞り込むことだ。特定の分野だけを狙う「カテゴリーキラー」である。惣菜の分野でいえばコンビニエンスストアや持ち帰り弁当、ホテル業でいえば出張泊に特化したビジネスホテルが該当する。総合的な組み合わせで競うのではなく、一つのことを深く掘り下げる。

まとめ:合算モデルの要点は組み合わせ、難点は収益性

合算モデルの核心は、「目玉商品と高採算商品の組み合わせ」×「バリューチェーン」にある。前者が客の来店理由を決め、後者が利益の出どころを決める。

ただし、それが成立する条件は楽ではない。集客商品が本当に客を呼べること、客が実際についで買いをしてくれること、そして高粗利の商品を加工し、バリューチェーン全体を運営する力が店にあること。どれかが欠ければ、組み合わせは単なる値下げに変わり、採算は合わなくなる。

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